連日の在来じゃがいも掘り

7月27日(土)

日光市足尾にて、舟石芋の収穫と唐風呂大根の種まきを行いました。

〈舟石芋の収穫〉

足尾が誇る在来作物を自然栽培にて繋いで行くシェアする農業の取り組みも、今シーズンで8度目の収穫を迎えました。

何と!今回の舟石芋は、過去最高の収穫量!傷んでいる芋もほとんどなく、良形のものもごろごろ。無肥料栽培でも、年々、微生物の多様性に富んだ健康な土へと進化していることが分かります。

この貴重な在来作物を未来へ繋ぐべく、今年から足尾に移住されたFさんをはじめ、芽かき作業や除草作業などを手掛けてくれた有志メンバーの仲間達、そして唐風呂大根の種を繫いで来た最大の理解者、園主の久保田さんにも感謝です。

〈唐風呂大根の種まき〉

舟石芋を収穫した後は、唐風呂大根の種まきを行いました。

標高のある山間部とはいえ、陽射しが照り付ける中での鍬を振っての畝たて作業はハード、あっという間に汗がしたたり落ちます。時間が押しながらも参加者の皆さんのおかげで、何とか無事に種まきを終えることが出来ました。作業後はみんなで木こり農園さんの自然栽培の西瓜を頂き一息タイム、皮まで甘いと大好評でした。

解散後は、任意メンバーとすぐそばの餅ヶ瀬渓谷に移動してランチタイム、渓流の冷水に浸り、火照った身体をクールダウンしました。足尾銅山のイメージとは裏腹に、足尾の自然豊かな山から湧き出る水は、あっという間に肌がすべすべになるほどの名水です。

〈アンデスの保存食チューニョ〉
今回、収穫した舟石芋の一部は、南会津町の自然食&穀物採食の宿、『タンボロッジ』大屋料理長のご指導の下、アンデスの保存食チューニョ作りへと繋げて行きます。標高1000mの山間部で栽培されてきた歴史を持つ舟石芋、50年先を見据えた足尾の新たな保存食として広げて行けたらと思います。そして、今回播種した唐風呂大根の収穫は11月23日(土)を予定してます。翌日、24日(日)は日光市の在来作物に関するイベントを仲間たちと画策中、諸々の詳細は決まり次第お知らせ致します。今回、ご一緒させて頂いた参加者の皆さん、暑い中の作業、本当にお疲れさまでした。またこの足尾の地にて、収穫の喜びをご一緒出来ることを楽しみにしてます。

〈野門の赤芋〉
そして翌日、7月28日(日)は関東最後の秘境と言われている平家の隠れ里、日光市栗山地域へ。

日光市の在来作物に興味を持ち、この春先に足尾地区に移住された藤田一枝さんと一緒に、野門地区の赤芋の唯一の生産者、小栗ご夫妻を訪ねて来ました。

昨年に続き、じゃがいも掘りのお手伝いをさせて頂きました。色鮮やかな赤芋を掘り上げると同時に、今年も無事に収穫が出来た安堵感が込み上げてきます。

この赤じゃがいもは、戦時中の昭和初期には旧栗山村全域で作られていたとの情報も残されており、現在は小栗家1軒のみで栽培されている品種。澱粉質で粘りがあるため、この地域の伝統食、「べったら餅」にして食べる風習が残されています。

このじゃがいも以外では餅状にならないようで、つき上がった餅にじゅうねん(エゴマ)をすりつぶして、砂糖と塩で味付けした秘伝のたれにつけて食するようです。

毎年、秋口には、地域の皆さんに振る舞われていたべったら餅ですが、高齢化とコロナ禍とともに、ここ数年はその風習が途絶え気味になってしまいました。

〈じゃがいもがお餅になる?〉

何度聞いても信じられませんが、今年は、このべったら餅を旧栗山村の伝統食として復活して欲しいと、小栗夫妻にお願いしてきました。秋口あたりにタイミングが合えば、べったら餅のイベントを開催出来たらと思います。今回も、小栗夫妻からお話を伺い、100年近くは栽培されてきたと思われる菜花(野門菜と命名)やえごま(じゅうねん)などの在来種の存在を再確認しました。

小栗家の帰り道、樹齢700年の平家杉を見学した後は、山を下り、日光市の大室地区で自然栽培を営んでいる日光あおぞら農園の石川夫妻を訪ねました。

https://www.facebook.com/farm.nikko

昨日の足尾の舟石芋の収穫にもご参加頂き、今年からは唐風呂大根の栽培にも挑戦してくれる予定です。広大な農地に何種類もの野菜やハーブが育っていました。これらの野菜は市内のホテルや飲食店から引っ張りダコのようです。地域の在来作物を繫いでいく生産者のお1人、これからも応援させて頂きたいと思います。お忙しい中、ご対応頂きありがとうございました。

夕方からは、藤田さんを主催とする有志メンバーで、日光市の在来作物のイベント開催についての打ち合わせを行いました。日光市には自分が確認しただけでも、両手に届く在来作物が存在しています。そしてそれらの作物には、繋ぎ手が少なく、絶滅の危機に瀕しているものもあります。日光市各地の山間部には日常的に種を繫いでいる方がまだ残されているかもしれません。そのような在来作物と地域に根付いた食文化を未来へ繋げるべく、有志メンバー間での意見交換とともに楽しみな企画が持ち上がりました。近いうちにお知らせ出来ると思います。

「種をまくことで世界が変わる」

8年前、日光市とはご縁もなかったよそ者の自分が、ふとしたご縁や奇跡的な巡りあわせで取り組み始めた在来作物のアグリツーリズム。いつしかその貴重な在来作物の種を繫ぐ仲間が増えて嬉しい限り、充実した2日間となりました。

日光市の生きてる文化財、在来作物を巡る新たな取り組み。

どのような世界が広がっていくのか?

これからも皆さんと一緒に楽しんで行きたいと思います。

引き続きよろしくお願いします♪

ナチュラルフード森の扉では、種まきから収穫までの農業体験、自分たちで育てた農作物を調理して食べるワークショップ、地域の方々とのふれあいを通した里山体験など、多彩なプログラムのアグリツーリズムを手がけています。
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